差別対価・不当廉売の被害
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お宅はいくらになる?
42インチ液晶テレビの戦い
私は小さな電気店を経営しています。
先日お客様からテレビ価格問合せを受け、量販店や仕入れ価格を調査することで不当廉売、差別対価の被害を受けていることが解りました。
お客様から見積り依頼
先日、お得意様からテレビに関する問合せを受けました。(金額は少し修正しています)
お客様:このメーカー、この機種の液晶テレビがほしいけれど、お宅ではいくらになりますか?近くの大型量販店での店頭表示価格は22万円、店員に話を聞くと21万円まで値引き出来るとか?近い値段に出来るなら購入したしたいのだが!
私:メーカー、機種、価格をメモして 解りました。メーカーと相談して見積書を持参しますと答えてお客様宅を後にしました。
自店価格:このメーカーは、系列外のメーカーですが直接取引のあるメーカーです。早速、価格表を調べると卸価格24万円(税別)但し別途拡売費が有ります。と記載されていました。
私:早速、このメーカーの営業所に電話を入れ価格を問い合わせて見ました。42インチ液晶テレビ卸価格24万円の拡売費を込めるといくらになりますか?
メーカー営業:卸は218000円(税別)です
私:解りましたといって電話を切りました。
私の頭の中:卸218000円と言う事は税込み卸価格
218000×1.05=228900円
粗利を20%、設置説明料1万円とすると販売価格は
228900÷0.8+10000=296000円
量販店の口頭での販売価格より86000円も高くなります。
では、粗利を15%、設置説明料を仮に無料にしても
228900÷0.85=269000円
それでも、59000円も高くなり、とてもお客様に納得してもらえる価格になりません。これは、量販店の販売価格よりも仕入れ価格が高くなっているのでどうしようもない状態です。
また、上記以外にも量販店独自のポイントや5年保証などの違いもあります。
以上のように仕入れ価格よりも量販店の販売価格のほうが安い状態は量販店側の不当廉売にあたります。
また、量販店が安く売れるのはメーカー卸が安すぎている為で、メーカーの行為は当店に対する差別対価にあたります。
以上は、小さな電気店である当店からの言い分なので、メーカーや量販店の立場でも考えてみる事にします。
メーカー側の立場で考えると
これは、あくまでもメーカーの立場を推測したものです。
量販店の粗利を20%と推定すると
メーカーから量販店への卸価格は
210000÷1.05÷0.8=160000円
これに対して、当店への卸228900円は1.4倍になります。
メーカーの国内向け主な販売ルートは家電量販店で、毎月専門の担当者が価格交渉を行っています。今月は3000台この地域の配送センターへ一括納品してほしいなど、大きな注文をもらえば、それに応じて値引きを入れる必要があります。
それに対して当店のこのメーカーの仕入れは月に1台から数ヶ月に1台程度、1軒ごとの配送なので手間も掛かります。手間の掛かる小さな店舗への卸価格は出来るだけ下げたくないのがメーカーの本音ではないでしょうか
量販店側の立場で考えると
これは、あくまでも量販店の立場を推測したものです。
量販店は量販店同士の価格競争があります。
メーカーに対して優位な条件を引き出す為に、専任の仕入れ担当者を商品別に置いて、常に価格交渉を行っています。
結果として販売価格が小さな電気店の卸価格を下回ることが時々発生するようになったのだと思います。
消費者側の対応
これは、あくまでも消費者の対応をこちらで推測したものです。
消費者とひとくくりにすると、解りにくいですね。
テレビの配線や設定が自分で出来る消費者なら量販店やさらに安く購入できるネット販売を選択すると思いますので、ここでは当店でも中心のお客様である60歳以上の方を対象に考えてみたいと思います。
例えば、小さな電気屋さんで27万で薄型テレビを購入した場合、後日量販店で同じ商品を21万円で販売していたら、次からは信頼を失い購入してくれなくなる場合がよくあります。
お客様が自分で価格を調べなくても、その息子や娘さんが価格を調べて高く買いすぎていると教えてくれる場合もあります。この場合は息子や娘さんが次回からお客様を代行して量販店で購入していくケースがあります。これだけ価格差があれば当然かもしれません。
このようにして、小さな電気屋はお客さんを失っていくのです。
しかし、60歳以上のお客様は量販店で購入後に困るケースが良くあります。
理由は、使い方が解らない場合が一番多いでしょう。何度も聞いていると、息子や娘さんも忙しくて相手にしてもらえなくなり、量販店に依頼すると毎回1万円以上の説明費用を請求されます。購入しなかった近くの電気店には依頼する事が出来ません。
蛍光灯の交換が出来ないというケースもあります。近くの電気店に蛍光灯の交換を依頼した時、新しいテレビが置いてあれば、嫌な顔をされたり、場合よっては廃業して依頼するところが無くなってしまった場合も多くあります
結局、一番弱いのは小さな電気店や情報弱者であるお年寄りと言うことになります。
公正取引委員会
上記の事例では、量販店の推定仕入れ価格より当店の仕入れ価格が40%も高く、上記消費者事例のような結果を招いてしまいます。 しかし、もう少し価格差が小さければ異なる提案が出来ます。
例えば、仕入れ価格の差が10%〜15%程度であれば、量販店の販売価格21万に対して当店の販売価格24万、但し詳しい説明を希望される場合は26万にすることが出来ます。
説明が高いと思われた場合は、簡単な説明だけ24万で販売し、何度も説明に伺うようであれば、後日2万円を請求すると言う方法が取れます。
量販店との価格差や、説明配線に関する費用も明瞭になります。
量販店との価格差を縮めるのに力になってくれる機関が公正取引委員会です。
仕入れ価格よりも安く販売されているケースを発見した場合、販売している量販店を不当廉売で、卸しているメーカーを差別対価で報告することが出来ます。
当店と同じような事例が多く報告されれば、公正取引委員会から改善を指導してくれるようになります。
しかし、当店の場合は現在出すことを少し悩んでおります。差別対価を提出したことを口実にする事は無いと思いますが、仕入高減少に伴う取引の打ち切りをメーカーから言われるのではと言う不安があるからです。
提出するかどうか、もう少し考えてみたいと思います。
今回の対応
今回、お問合せを受けたお客様のケースでは、商品をメーカーから仕入れず、組合の共同購入を利用して収めました。
上記ほどの価格差は発生せず、お客様にも喜んで頂けました。
説明はある程度予想とおりで、明日4回目の説明に伺います。もちろん、これぐらいで追加請求は頂きません。